亜鉛の過剰摂取は逆効果?髪の毛への影響と注意点

髪の毛の健康に良いとされる亜鉛ですが、「たくさん摂れば摂るほど髪に良い」というわけではありません。何事もバランスが大切であり、亜鉛もまた、過剰に摂取すると体に様々な悪影響を及ぼす可能性があり、場合によっては髪の毛にとっても逆効果となることがあります。亜鉛の過剰摂取が髪の毛や体にどのような影響を与えるのか、そして適切な摂取のための注意点について理解しておきましょう。まず、亜鉛を過剰に摂取した場合に起こりうる急性中毒症状としては、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなどが挙げられます。これらは、サプリメントなどで一度に大量の亜鉛を摂取した場合に起こりやすいとされています。通常の食事から亜鉛を過剰摂取することは稀ですが、サプリメントを利用している場合は注意が必要です。そして、慢性的な亜鉛の過剰摂取が続いた場合に問題となるのが、「他のミネラルの吸収阻害」です。特に、亜鉛と銅は体内で吸収経路が競合するため、亜鉛を過剰に摂取すると銅の吸収が悪くなり、銅欠乏症を引き起こす可能性があります。銅は、鉄分の代謝やコラーゲンの生成、メラニン色素の生成などに関与しており、不足すると貧血、骨粗しょう症、白髪の増加、免疫機能の低下といった症状が現れることがあります。白髪が増えるということは、髪の健康にとってもマイナスと言えるでしょう。また、亜鉛の過剰摂取は、鉄の吸収も阻害する可能性があります。鉄分は、頭皮への酸素供給に不可欠なミネラルであり、不足すると髪の成長が悪くなり、抜け毛の原因となることがあります。つまり、良かれと思って亜鉛を摂りすぎた結果、他の重要なミネラルの吸収を妨げ、かえって髪の健康を損ねてしまう可能性があるのです。さらに、非常に高用量の亜鉛を長期間摂取し続けると、免疫機能が低下したり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少したりするといった報告もあります。これらの体全体の健康状態の悪化は、巡り巡って髪の毛にも悪影響を及ぼす可能性があります。では、亜鉛の適切な摂取量はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」では、1日の亜鉛の推奨量は成人男性で11mg、成人女性で8mg(妊娠中・授乳中は付加量あり)とされています。